麒麟山酒造が位置する新潟県阿賀町津川は、福島県に接する県境にあり、明治維新下の廃藩置県では会津若松県、明治１９年に現在の新潟県に編入された会津文化も漂わせる古き町です。古くは江戸時代より独占的に酒造りが許された銘醸地ですが、当時産業の中心は林業、その加工業として木炭の製造が盛んで、大河阿賀野川が流れていることから流通の基点となり、東蒲原郡の行政や経済の中心地としても栄えました。

創業は江戸後期の天保14年（1843年）、初代当主は木炭生産販売業を主な家業としながら酒造業を始め、当時は井戸から湧き出る豊かな水．．．もっと見る

麒麟山酒造が位置する新潟県阿賀町津川は、福島県に接する県境にあり、明治維新下の廃藩置県では会津若松県、明治１９年に現在の新潟県に編入された会津文化も漂わせる古き町です。古くは江戸時代より独占的に酒造りが許された銘醸地ですが、当時産業の中心は林業、その加工業として木炭の製造が盛んで、大河阿賀野川が流れていることから流通の基点となり、東蒲原郡の行政や経済の中心地としても栄えました。 創業は江戸後期の天保14年（1843年）、初代当主は木炭生産販売業を主な家業としながら酒造業を始め、当時は井戸から湧き出る豊かな水と神様からの恵みの酒を意味する福の文字から「福の井」と命名、そして明治15年（1882年）、三代目の時代に福の井から「麒麟山」に銘柄を変更し現在の酒造りに至ります。 麒麟山（きりんざん）の酒名は、中国で生まれた架空動物「麒麟」にその姿が似ていることから名付けられた阿賀町津川のシンボル、阿賀野川と常浪川との浸食によってそそり立つ名峰「麒麟山」に因んでいます。 麒麟山では、代々受け継がれてきた「酒は辛いもの」という家訓のもと、創業から一貫して伝統の辛口にこだわった酒造りを頑なに守り続けています。豊かな自然環境と淡麗辛口へのこだわりが生んだ麒麟山の辛口は、飲むごとに冴えわたるキレの良さ、時代が変わっても変わることのない伝統を受け継ぐ正統の味です。 伝統の辛口を継承する定番酒をはじめ、麒麟山の真骨頂である辛口シリーズ、それぞれの個性を「色」で表現したカラーボトルシリーズ、日本酒の旬の味わい楽しむ季節限定シリーズ、いずれも淡麗辛口の王道です。 また、地元蔵元２社で組織される奥阿賀酒米研究会では、地元産原料米で全ての酒を仕込みたいという想いから良質な酒米を目指して、地元酒米生産農家と共に栽培指導会の開催やコシヒカリとの価格差の補填など、この地域での原料米栽培を促進する活動に取組んでいます。トレーサビリティーの開示が求められる現在、社員自らが田植えを行い、酒造好適米の栽培から清酒製造まで一貫した責任ある製品作りを目指しています。 中国で生まれた架空の動物「麒麟」には、古代中国で聖人の出現を知らせる前触れとしてこの世に現れるという伝説があります。龍・鳳凰・亀と並んで縁起の良い四霊の一つとされ、それに肖って「飲んでいただいた方にも幸せが訪れるように」と願い、その酒造りは現在七代目に受け継がれています。