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其の十二、 河忠酒造 初呑切り 2008年7月18日 |
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早朝、東京の熱い地酒飲食店さんである「地酒処 吉本」の大原社長様と長岡駅で待ち合わせて三島町の河忠酒造(株)さんへ伺います。
長岡駅から寺泊、出雲崎方面に向かって車で約40分、緑の田園風景を走り抜けます。
河忠酒造(株)の銘柄名は「想天坊」「福扇」です。想天坊は現社長が2000年に立ち上げられた最近の銘柄で、今では蔵のメイン銘柄になっています。近年関東圏で人気商品になっています。
河忠酒造の「初呑切り」は、毎年見学させて頂いています。
酒蔵にとって春先の造り終い後に迎える初めの大きな行事です。造りを終えてタンクに貯蔵した酒の熟成状態をいっせいに検査します。
主な目的は、火落ちの有無と熟成状態のチェックです。
衛生管理が徹底して、製造技術の進んでいる現在では火落ちの心配はほとんどありま
せんが、熟成の度合いを見ることでこの後の出荷状態が決まってきます。
この蔵では、毎年新潟県醸造試験所の先生をお招きしてみてもらっています。
さて、社長はじめ蔵人にご挨拶を手短にすませ、白い帽子と白衣を身に着けて早速貯
蔵庫に向かいます。
既に蔵人が呑みを切る準備をしています。タンクの下部に上下の二つの呑み口がつい
ていますが、上の呑み口を切ります。呑み口を切る人と流れ出る酒を受ける人とその
酒をテーブルに運ぶ人の三人で作業をしています。
通常は、テーブルに並べられた酒をみることが多いのですが、ここでは呑み口を切っ
た瞬間の切りばなを試飲することができました。
杜氏さんによると、この瞬間の香りで熟成の状態が良くわかるとのことでした。
河忠酒造(株)の郷良夫杜氏は、酒造りの道に入って52年のベテラン杜氏で、卓越し
た技能者県知事表彰、黄綬褒章受賞、関信越清酒鑑評会15年連続金賞受賞等の実績を
残している新潟県を代表する杜氏さんです。
貯蔵庫にあるタンクの上呑みを次から次へと切って一升瓶に詰めてテーブルに運んで
いきます。
小さな貯蔵タンクには高級酒が入っています。この初呑切りでの楽しみの一つは呑み
を切ってすぐのお酒の香味を見ることです。
新鮮なサプライズがあります。
今年の酒は特に柔らかさ滑らかさ素直さを感じました。
郷杜氏さんによると麹室の改装で特に良い麹がでるようになったとのことでした。
さて、いよいよ一同に集められたお酒のティステングです。
先ずは、試験場の先生によるティステングが始まっています。
その後に私達のティステングが始まります。
ラベルの無い透明瓶で容器番号だけの表示です。
手渡されたチェック紙に製法区分、香味、熟度、などを書き込んでいきます。
今回の目的の一つに、気に入った商品を原酒で販売したいということがあります。
大原社長と二人で2つのタンクナンバーの商品を指名することにしました。
今年の想天坊銘柄には、とても期待が持てます。
なかでも、越淡麗の純大は特に魅力を感じました。
今年の酒はそのほとんどが、口当たり柔らかく素直な酒であると感じました。
ところで、白紙のチェック紙に香味だけで製法区分や味わいのコメントをつけるのは
かなり緊張します。
でも、この期待と緊張感には小さなサプライズと大きな楽しみがあります。
蔵人の皆さんは、とても熱心で活気に溢れています。
この環境の中で美味しい酒ができるのは間違いないと感じています。
郷杜氏さんは、私達にはいつも笑顔で親切に対応してくれますが、蔵の中ではとても
仕事に厳しい人であるそうです。
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