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日本酒焼酎・泡盛ワインその他、新潟の特産品

酒造りに従事して53年。伝統的酒造りの技法を身体で体得した当店オーナー中野三樹太郎が、日本酒のルーツを探り、歴史的時代背景を探りながら「NHK朝の随想」で収録したものをまとめてみたこの文が、消費者の皆様を初め、日本酒愛好家の方々への日本酒への理解を深める事ができれば、また温故知新と言うべき若い酒造後継者達への興味と育成教育への一助けともなれば誠に幸いであります。(平成6年10月〜7年3月放送)

県内の蔵元さんの早いところでは、今頃、新米を取り入れ精米をして、酒のもとを造り、そろそろ本造りが始まるころでしょう。今年はお米が豊作で方々では原料米の心配はなかった様です。

蔵の中を綺麗にし、消毒もし、そして神事として吉日を選んでお祓いをします。どこの蔵にも松尾様(酒の神様)が奉られてあり、社長を初め蔵人の一人一人が榊、玉串を捧げ今年の造りの無事息災を祈願して始まります。

酒はほとんど醗酵食品であり、日本酒のように醗酵したものをきれいに清澄(ろか)して出すか、ウイスキ−やブランディ−の様に醗酵したものをさらに蒸留して出すかの差があります。

日本酒では、良く醗酵という言葉を使いますが、醗酵とは微生物(日本酒の場合、酵母菌とか酵素とか)の生活活動なのであります。

この前ある本の中で「地球上の生物の歴史を振り返ってみると、微生物の出現は十億年を単位とする遥か遠い時代まで跡をたどるに比べ、人類ではたかが二百万年余りに過ぎない。」と書いてありました。我々が記録によって知る事が出来るのは、約五千年にさかのぼるに過ぎないのです。

彼等は人や家畜に病原等を起こさせる有害な存在もありますが、まことに有能な働きをするそのものが数多く存在することが知られております。たとえば、食品、医薬品、化学品、最近では廃水処理にまで実に広範囲に人がこれを利用するようになりました。

微生物と酒との出会いを初めて発見したのは、1857年ルイパスツ−ルが深い洞察力と巧みな実験によって醗酵を演出する主役を発見。ブドウ酒の搾り中いつのまにか、芳醇な香味に変り、激しい泡立ちと共に糖分からアルコ−ルを製成する醗酵が自然醗酵によるものでなく、微生物の働きにほかならない事が明らかになったのである。

それから百有余年の歳月が流れ、醗酵技術の歩みの始まりとなったのであります。
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 目次
第1話 日本酒と私の酒造り人生
第2話 酒を醸す微生物との出会い
第3話 お酒のプロローグや歩み
第4話 酒造りの業とその変遷
第5話 日本の酒造りとその推移1
第6話 日本の酒造りとその推移2
第7話 酒男の沿革と蔵人の組織
第8話 酒人の蔵入りと蔵人の精進
第9話 酒造談義あれこれ
第10話 極致の酒・大吟醸酒
第11話 文化と日本酒の中での吟醸酒
第12話 麹菌と日本酒の酒について
第13話 吟醸造りに魂をそそぐ
第14話 吟醸酒造りと出会い
第15話 吟醸酒について
第16話 おさけまんだん
第17話 日本酒の味とその褒め言葉
第18話 飲酒者サロン
第19話 阪神大震災による酒蔵壊滅復興への願い
第20話 やさしい酒造談議 (酒の熟成を考える)
第21話 酒の嗜好食品性について
第22話 清酒多様化の方向
第23話 清酒か日本酒か?
第24話 清酒鑑評会やきき酒のコツ
第25話 日本酒造りと後継者
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