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県内の蔵元さんの早いところでは、今頃、新米を取り入れ精米をして、酒のもとを造り、そろそろ本造りが始まるころでしょう。今年はお米が豊作で方々では原料米の心配はなかった様です。
蔵の中を綺麗にし、消毒もし、そして神事として吉日を選んでお祓いをします。どこの蔵にも松尾様(酒の神様)が奉られてあり、社長を初め蔵人の一人一人が榊、玉串を捧げ今年の造りの無事息災を祈願して始まります。
酒はほとんど醗酵食品であり、日本酒のように醗酵したものをきれいに清澄(ろか)して出すか、ウイスキ−やブランディ−の様に醗酵したものをさらに蒸留して出すかの差があります。
日本酒では、良く醗酵という言葉を使いますが、醗酵とは微生物(日本酒の場合、酵母菌とか酵素とか)の生活活動なのであります。
この前ある本の中で「地球上の生物の歴史を振り返ってみると、微生物の出現は十億年を単位とする遥か遠い時代まで跡をたどるに比べ、人類ではたかが二百万年余りに過ぎない。」と書いてありました。我々が記録によって知る事が出来るのは、約五千年にさかのぼるに過ぎないのです。
彼等は人や家畜に病原等を起こさせる有害な存在もありますが、まことに有能な働きをするそのものが数多く存在することが知られております。たとえば、食品、医薬品、化学品、最近では廃水処理にまで実に広範囲に人がこれを利用するようになりました。
微生物と酒との出会いを初めて発見したのは、1857年ルイパスツ−ルが深い洞察力と巧みな実験によって醗酵を演出する主役を発見。ブドウ酒の搾り中いつのまにか、芳醇な香味に変り、激しい泡立ちと共に糖分からアルコ−ルを製成する醗酵が自然醗酵によるものでなく、微生物の働きにほかならない事が明らかになったのである。
それから百有余年の歳月が流れ、醗酵技術の歩みの始まりとなったのであります。 |
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