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「嗜好品には刺激があって、その刺激が強いほど満足度が大きく、満足の継続時間が長くなる。」そんな主旨の論説があります。「味の文化」という中から酒を中心とした記述を拾い、嗜好品をして酒の特性を探ってみましょう。
酒は人間にとって必要なもの。精神的にも、肉体的にも有効に作用します。しかし、飲み過ぎれば体を悪くする。そこで酒を上手に飲み、良い効果をあげ、害を防がなくてはなりません。
また、人間は本能的に何らかの刺激を求めているように思います。刺激を求める欲求は嗜好としても現れています。嗜好の一つは味ですが、味でないものもあります。
例えば、酒は日本人にとって嗜好ですが、ヨーロッパのワインは日常化しています。フランスの人は普通の食卓の際、昼でも夜でもワインを飲み、また、料理の一部として使用することが一般化し、日常化してしまっております。
嗜好品的な食品であっても、それを食べたり飲んだりする事で、日常化すると刺激もなくなり日常品になります。嗜好食品は刺激が強いので、時々食べれば美味しいのですが毎日、あるいは毎食では嫌になってしまいます。
反対に、あまり刺激を感じない食品は、毎日食べても飽きることはありません。刺激の強さは大きいほど満足感が得られます。例えば、一回旅行すると数ヶ月は待つと言う満足が得られます。タバコ1本は、数時間か数分です。お酒になるともっと待ち、半日から一日くらい、コーヒーは数時間、人によっては半日くらいでしょうか?
では、刺激を与えられたとき、現代の日本人はどのような満足を得るのでしょうか。年齢や性別によって相当な違いがあります。
若い人の場合は、「スポーツをする」「楽器をいじる」「異性とデートする」「車に乗る」と言った行動的なものが好まれます。
年代の上昇に伴い「テレビを見る」の比率が増え、年配者になると「テレビ」「茶を飲む」「タバコを吸う」と言った日行動的なものが多くなります。「酒を飲む」という刺激で満足するものでは、当然ながら年配者でも男性に多くなっています。
若い大学生の女性に付いて調査した結果では、「酒を飲む28%」「車を飛ばす14%」「音楽をがんがん鳴らす16%」「ディスコで激しく踊る9%」と言った数字が出てきました。若い人は男女にかかわらず行動的なことがわかります。
酒について嗜好性をまとめると、酒は日本人にとって嗜好品であっても刺激度は中程度、酒を飲む刺激で満足するものは年配者の男性。女性では若い人に多いということになります。
現代の日本人は、飲酒の機会が限定されるといった時代背景はなく、労働時間の短縮による余韻の増大や生活水準の向上は、価値観の多様化やライフスタイルの変化をもたらし、個性化を生み出し、飲酒を「日常的」な行為として変身させてきました。
又、酔いを求める飲酒から、食事や雰囲気を楽しみながら飲む酒、生活空間をシーンメイクするコーディネーターとして人間関係を円滑にする飲酒へと大きく変貌を遂げて来ていると言えましょう。
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