|
|
|
|
|
鳥飼酒造場は、創業以来400年の歴史を持つ由緒ある蔵元です。酒蔵を構える熊本県人吉市は、鎌倉時代から700年続いた相良氏の城下町で、史跡や文化財、往時の面影をとどめた趣のある町並みが歴史を偲ばせる古都です。
この人吉・球磨地方は、米焼酎が江戸時代から造られてきた「米焼酎の古里」で、日本で初めて「球磨焼酎」と産地呼称が認められた、日本有数の米焼酎の産地としても知られております。ここには、現在も数多くの蔵元がありますが、鳥飼酒造場は、その中でも一際異彩を放ちます。それは、焼酎にして吟醸酒のように華やかな香りを持つ、世界品質の米焼酎であるからです。
現蔵元の鳥飼和信氏は、「小さな蔵元が生き残るためには、大きな蔵に負けないような技術革新を行い、独自の技術を身につけ、その蔵でしか出せない特色を持つ事が必要だ」と考え、「吟醸酒のように華やかな吟醸香をもつ焼酎」という、これまでにない新しい焼酎を造ろうと決意します。そして、当初は誰もが無理だと否定しましたが、焼酎の可能性を信じて「香り」の研究に没頭します。
しかし、清酒とは違い、焼酎の世界にはまだそのような技術のノウハウがなかった為、そこから果てしない試行錯誤が続きます。昔の文献、現代の微生物、醗酵学を何年も掛けて調べ、大学や研究機関、清酒業界の有名な杜氏さんを訪ね歩き、利益のほとんどを研究費に注ぎ込みます。そして、ようやく15年の研究を経て、イメージ通りの香りに辿り着く事が出来たのです。
平成7年、酒名を吟香「鳥飼」として初出荷、翌年、世界中の銘酒を集めた「モンドセレクション国際食品コンクール96’」においてグランドゴールドメダルを受賞します。今や「鳥飼」と言えば、焼酎好きなら誰もが知る存在です。
以前、鳥飼氏が「夢で出来もしない焼酎を飲む」と言っておられる記事を読みましたが、少しでも高品質で美味しい焼酎を造りたいという酒造りの姿勢は、常に目標を定めて努力する姿によく現れていると思います。あの吟醸香が生まれた研究室では、「味わい深さ」をテーマにした次の研究が進められています。
|
|
|
|