創業天保４年（1833年）、雪国・新潟の自然に恵まれた小さな村里・（旧）三島郡和島村に蔵を構える久須美酒造は、良寛が晩年を過ごした「水よき緑の里」としても知られる米作中心の農村で手造りの伝統を頑なに守り続ける酒蔵です。白壁が光る木造の瀟洒な酒蔵が、裏手の杉林を背にして美しいシルエットを描き、手前には特徴的な長いノギを銀色に輝かせ、たおやかに実った名米「亀の尾」の水田が広がっております。

ご存知の通り、久須美酒造の蔵人を中心とした亀の尾生産組合．．．もっと見る

創業天保４年（1833年）、雪国・新潟の自然に恵まれた小さな村里・（旧）三島郡和島村に蔵を構える久須美酒造は、良寛が晩年を過ごした「水よき緑の里」としても知られる米作中心の農村で手造りの伝統を頑なに守り続ける酒蔵です。白壁が光る木造の瀟洒な酒蔵が、裏手の杉林を背にして美しいシルエットを描き、手前には特徴的な長いノギを銀色に輝かせ、たおやかに実った名米「亀の尾」の水田が広がっております。 ご存知の通り、久須美酒造の蔵人を中心とした亀の尾生産組合が栽培する「亀の尾」という酒像好適米は、戦後日本の酒蔵（自家栽培）で初めて復活した浪漫の名酒米で、全国にその名を知らしめた清泉の最重要酒「亀の翁」に使われる原料米として重要な位置づけにある付加価値の高い酒造好適米です。 かつて、不世出の名酒米と謳われた「亀の尾」は、害虫に弱く、倒伏しやすい事などを理由に一時は絶滅に近い状態でした。しかし、１９８０年代に六代目当主「久須美記廸氏」が、越後杜氏の長老「河井清杜氏」から「昔飲んだ亀の尾で造った酒の味が忘れられない」という話を聞いて、幻の味の復活に挑戦することを決意します。そして、県の農業試験場から僅か１５００粒の種籾を入手。その後、久須美酒造は自家田で栽培に成功し、その米で造った「亀の翁」という純米大吟醸を世に出した事で全国の酒好きから一躍注目の集めます。 さらに、その「米作り、酒造り」へのひたむきな情熱を描いた物語が、漫画「夏子の酒」のモチーフとなり、その人気に拍車がかかります。当時、若者や日本酒にあまり興味を持っていなかった人までも日本酒に振り向かせる事となったその偉大な功績は、酒造業界にとって非常に大きな貢献となりました。 また、久須美酒造は昔から屋号を「清水屋」と呼ばれてきましたが、それは蔵の敷地内にある縦井戸から湧き上がり、仕込水にも用いられる「新潟県の名水三十六選」に由来するものです。 自家の裏手には樹齢二百年にも及ぶ老杉を始め、大木が生い茂る杉山を保有しており、これらの老杉は１本で約２トンの水を蓄えるといいます。酒造りに必要な良質の水を得るため代々守り続け、共に生きてきた杉山との深い関わりにより育まれた清く澄んだ湧き水を仕込水に銘酒「清泉」は醸されています。 蔵には「日本酒は、土地の米と水と人情と自然が醸す風」という言葉があります。これは自らが作った米で、自らが育てた水を用いて、地元の人々の和が旨い酒を醸しだすという意味です。「蔵人皆が生き甲斐を感じる酒を造りたい」と一丸となって造り上げる清泉の酒は、いつのまにか自然と盃を重ねてしまうような、その名を彷彿とさせる透明感のある柔らかな味わいを持ち、幅広い層の地酒ファンから愛され続けています。