創業明治30年、御祖酒造が蔵を構える石川県中能登町は、加賀屋の温泉地「和倉」への途上、能登半島の中程に位置し、東に石動山、西に眉丈山などの連なる丘陵地が横たわり、その間に日本の原風景ともいえる田園地帯が広がります。かつて地名を御祖（みおや）と呼び、街道の宿場町として栄えた中能登町藤井は、多くの遺跡が点在し、能登文化発祥の地としても知られる文化遺産と豊かな自然に恵まれた素朴な田舎町です。

創業以来、御祖酒造は古来より崇められる霊峰「石動山」の伏流水で酒を醸し、地元で「我が誉れの酒」と讃えられたことから命名．．．もっと見る

創業明治30年、御祖酒造が蔵を構える石川県中能登町は、加賀屋の温泉地「和倉」への途上、能登半島の中程に位置し、東に石動山、西に眉丈山などの連なる丘陵地が横たわり、その間に日本の原風景ともいえる田園地帯が広がります。かつて地名を御祖（みおや）と呼び、街道の宿場町として栄えた中能登町藤井は、多くの遺跡が点在し、能登文化発祥の地としても知られる文化遺産と豊かな自然に恵まれた素朴な田舎町です。 創業以来、御祖酒造は古来より崇められる霊峰「石動山」の伏流水で酒を醸し、地元で「我が誉れの酒」と讃えられたことから命名された「ほまれ」を代表銘柄とします。そして、平成１８年に誕生した地酒専門店向け限定銘柄「遊穂（ゆうほ）」は、新世代の銘酒として瞬く間に全国から脚光を浴びる人気銘柄となりました。 御祖酒造は、かつて売り上げの大半が普通酒という地元依存型の小さな酒蔵でしたが、東京出身で全く畑違いのOLから酒造業界に飛び込んだ現蔵元「藤田美穂氏」が、平成15年から経営を引き継ぎ、自らも蔵人として酒造りに携わり始めたことにより、品質の高い純米酒や吟醸酒などがメインの蔵元に大きく変貌と遂げます。 そして平成１７年、御祖酒造に最大の転機が訪れます。当時、能登杜氏の若手ホープとして注目されていた「横道俊昭氏」との運命的な出会いです。日本酒好きが高じてこの世界に飛び込んだ横道氏は、琵琶の長寿・菊姫・常きげんと能登流の銘醸蔵で研鑽し、利休梅で若くして杜氏を務めた才能溢れる杜氏です。 年間生産石数約400石の内、遊穂は約２００石という極少量生産ですが、藤田社長の「一から酒造りをしたい」という想いとその熱意に打たれた横道杜氏の二人三脚で質の高い酒造りに取り組んでいます。 酒造界に彗星の如く現れた遊穂は、日本四大杜氏として全国で活躍する能登杜氏が自ら醸した新酒の味覚や品質を競う「能登杜氏自醸清酒品評会」にて、初出品となる平成18年にいきなり最高賞の金沢国税局長賞・能登杜氏名工賞に輝きます。平成20年にも首席となり、遊穂の立ち上げ早々から能登杜氏の最高栄誉を二度も受賞するという驚くべき快挙を成し遂げています。ちなみに、金沢国税局首席の複数回受賞者は横道杜氏を含め過去僅か６人、能登四天王と呼ばれる名杜氏が上位を独占していることからもその凄さがわかります。 遊穂のモットーは、飲んで楽しくなる日本酒、一生懸命に過ごした一日が癒されるような優しい日本酒、そして食事と共に楽しめる食中酒です。日本酒の旨味と綺麗でバランスの取れた酸、食事を邪魔しない控えめで上品な香りが特徴です。そして2杯目、3杯目と飲み飽きせずに飲み続けられる酒を遊穂は目指しています。