創業天正年間（1573〜91年）、菊姫が位置する石川県鶴来町は、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つである白山連峰の麓、雪解け水が手取川となって流れ出る扇状地の扇頂点にあります。この地は白山信仰の総本山である白山比�盗_社の門前町としても知られており、奈良朝以来、菊酒は白山宮の神酒として連綿一千有余年の伝統を誇り、時代に惑わされることなく本物の酒にこだわり続けています。

この白山連峰からの滴りを集めて醸し出す芳醇な美酒は、すでに室町時代には加賀菊酒（菊姫の古称）と呼ばれ、京師の公卿間．．．もっと見る

創業天正年間（1573〜91年）、菊姫が位置する石川県鶴来町は、富士山、立山と並ぶ日本三名山の一つである白山連峰の麓、雪解け水が手取川となって流れ出る扇状地の扇頂点にあります。この地は白山信仰の総本山である白山比�盗_社の門前町としても知られており、奈良朝以来、菊酒は白山宮の神酒として連綿一千有余年の伝統を誇り、時代に惑わされることなく本物の酒にこだわり続けています。 この白山連峰からの滴りを集めて醸し出す芳醇な美酒は、すでに室町時代には加賀菊酒（菊姫の古称）と呼ばれ、京師の公卿間で賞翫され、豊大閤の醍醐の花見に登場したことは「太閤記」が伝えています。降って、江戸時代には加賀藩の保護酒として、また徳川幕府の巡見上至使から愛用をこうむった天下の銘酒です。 菊姫では、「原料由来の味わいや麹の旨味を生かした造りこそが本流である」という強い信念の下、酒の個性を生かし、酒本来の旨みを引き出すために最低限の炭素しか使わず、酒はほんのり薄化粧の黄金色です。これは菊姫の自信と誇りの表れ、しっかりした麹から引き出される米の旨味と麹の作り出す様々な酵素の働きによって、複雑で深い味わいを醸し出し、あくまで酒の個性を生かしていきたいと考えています。 また、高品質の清酒造りに必要なものに、良い原料、良い人材、良い設備が上げられますが、原料は特に吟味し、最高の酒造好適米である山田錦、その中でも特に高品質米が栽培される産地、兵庫県美嚢郡吉川町産（最高ランクの特Ａ―Ａ指定地域）の米を入手、さらに全生産量の約２５％に相当する一万俵を毎年安定的に確保しています。この数字は単なる契約栽培を超え、生産者と信頼関係が築かれてきたことを物語っています。 そして、「造りの違う全てのジャンルに最高の味を求める」という頑固なまでのこだわりによって、普通酒を含む全ての酒が最高品質の山田錦を用いて完全自家精米されています。「米の旨みを生かした清酒本来の味」を追求し、醸される菊姫の思想が息づいた酒は、個性的な清酒を求める多くのファンに支持されています。 また、菊姫は利益を最優先し、時代に迎合した酒を造るためにコストダウンや合理化ばかりに力を入れた日本酒とは対極に位置します。一千年を超える試行錯誤の歴史を経て、先人たちが築き上げた技術と精神を基本としながら、新しい技術を積極的に導入し、歴史と共に生き伝承されてきた世界に誇る酒、日本酒本来の魅力を大切に守り続け、妥協を排し、極上のこだわりを持って限界のない酒造りの挑戦を続けています。