創業弘化四年（1847年）、諸橋酒造が蔵を構える新潟県長岡市（旧栃尾）は、新潟県のほぼ中央に位置し、四方を山々で囲まれた盆地の中にあります。その地勢から新潟県内でも有数の豪雪地帯として知られる一方、豊かな緑と水に育まれ大自然に恵まれる山紫水明の地としても有名です。春を迎えると一面雪の銀世界に覆われていた場所に、絵で描いた様に見事な棚田が広がり、秋は実った米が水田を黄金色に染めています。

冬の寒さと降雪量の多さは、この地の人々に苦労と生活環境の厳しさを与えますが、同時に棚田での良質な米作りや低温環境．．．もっと見る

創業弘化四年（1847年）、諸橋酒造が蔵を構える新潟県長岡市（旧栃尾）は、新潟県のほぼ中央に位置し、四方を山々で囲まれた盆地の中にあります。その地勢から新潟県内でも有数の豪雪地帯として知られる一方、豊かな緑と水に育まれ大自然に恵まれる山紫水明の地としても有名です。春を迎えると一面雪の銀世界に覆われていた場所に、絵で描いた様に見事な棚田が広がり、秋は実った米が水田を黄金色に染めています。 冬の寒さと降雪量の多さは、この地の人々に苦労と生活環境の厳しさを与えますが、同時に棚田での良質な米作りや低温環境での酒造り、洞窟による清酒の貯蔵等、酒造りには最高の環境条件を提供してくれます。 酒処新潟を代表する人気銘柄「越乃景虎」は、新潟吟醸造りの本流にして王道、辛さの中にも旨さを含んだ淡麗にしてふくよかな美味「淡麗辛口」を基本に、越乃景虎たる所以、その柔らかく円やかな酒質が上品でさわりなく飲め、辛口でありながら辛さを感じさせないという他の辛口酒にない独特のスタイルを有する銘酒です。 酒名の「越乃景虎」は、ここ栃尾市が戦国武将の群雄割拠した時代、越後の名武将「上杉謙信公」によって「座」が開かれ、米作をおおいに奨励しながら盛んに取り組んできた地域であり、謙信公の多感な青年期を過ごしたゆかりの深い土地柄と歴史との縁により、当時の元服名「長尾景虎」に因んで命名されています。 景虎最大の特徴は、雪深い土地で育まれた仕込水に隠されています。山に積もった雪は、春になって溶けると地中深く潜り、数十年の歳月によって浄化され、清冽な湧き水となります。越乃景虎は、全国名水百選に選ばれた「杜々の森の湧き水」と、蔵の敷地の横井戸から湧き出る全国でも稀な硬度0.47の自然水を汲み上げて仕込水にしています。新潟の水の特徴である軟水の中でも特にミネラル含有量の少ない超軟水です。 この超軟水は、不純物が少なく蒸留水に近いため、発酵させるのが難しいところがあります。しかし、越乃景虎の独特の酒質を生み出すこの名水を、酒造り四十年のキャリアをもつ越後の名杜氏「高橋孝一氏」が長年培ってきた技と経験で自在に使いこなす事により、あの優しい飲み口の華麗な辛口酒が醸されるのです。 こうした環境と越後杜氏の酒造りの技術、辛抱強い蔵人たちの努力が実を結び、約160年に渡って越乃景虎の味わいを育んできました。また近年、越後の伝統的な吟醸造りを復活させるべく挑戦も続けています。